赤ちゃんの睡眠

ねんねトレーニングの方法を比較:ファーバー式・泣かせる方式・泣かせない方式

夜中に何度も起きる赤ちゃんを抱っこしながら、「ねんねトレーニング」を検索しているあなたへ。ファーバー式、泣かせる方式(CIO)、泣かせない方式、それぞれ何が違うのか、いつ始めればいいのか、そして自分の家族にいちばん合うのはどれか。眠れない夜に読むあなたのために、穏やかに、急がず、ジャッジせずにお伝えします。

夜中の2時、薄暗い部屋で何度目かの寝かしつけをしながら、片手でこの記事を開いている――そんなあなたへ。まずお伝えしたいのは、「ねんねトレーニング」を調べていること自体、あなたが悪い親だという証拠にはまったくならないということです。毎晩細切れの睡眠が続けば、心も体もすり減ります。少しでも眠りたい、家族みんなが穏やかな夜を取り戻したいと願うのは、ごく自然なことです。

「ねんねトレーニング(ねんトレ)」とは、ひとことで言えば、赤ちゃんが自分で眠りに入る・眠りに戻る力を、無理のない範囲で育てていくための、いくつかの方法をまとめた呼び方です。やり方は一つではありません。よく耳にする「ファーバー式」「泣かせる方式(クライ・イット・アウト)」「泣かせない方式(ノー・ティアーズ)」は、それぞれ考え方も、親の関わり方も、向いている家族も違います。このガイドでは、どれが正しいかを押しつけるのではなく、それぞれの違いと、あなたの家庭にいちばん合うものを選ぶための判断材料を、落ち着いてお伝えします。母乳でもミルクでも、添い寝でもベビーベッドでも、どんな選択をしてきたかは問いません。

そもそも「ねんねトレーニング」とは何か

多くの赤ちゃんは、生まれてしばらくは抱っこや授乳、揺れに支えられて眠りに落ちます。これはごく自然なことです。ねんねトレーニングが目指すのは、その支えを少しずつ手放し、赤ちゃんが「眠りに入るスイッチ」を自分の中に育てていくこと。完全に泣かせ続けることでも、夜間の授乳を急にやめさせることでもありません。

大切な前提を一つ。ねんねトレーニングは夜間授乳をやめさせる方法ではありません。月齢の小さい赤ちゃんは、夜中の授乳がまだ必要なことがほとんどです。トレーニングで育てたいのは、あくまで「眠りに入る・眠りに戻る」力の部分。お腹がすいているときや体調が気になるときは、どの方法を選んでいても、迷わず赤ちゃんのもとへ行ってください。

ねんねトレーニングはいつから始められる?

これは多くの親御さんがいちばん気にするところです。一般的な目安として、多くの専門家は生後4〜6か月ごろを一つの出発点としています。このころになると、昼夜のリズムが育ち始め、睡眠サイクルが大人に少し近づき、夜にまとまって眠れる赤ちゃんが増えてくるためです。

ただし、これはあくまで一般的なパターンであり、赤ちゃんの発達には大きな個人差があります。低出生体重で生まれた赤ちゃん、持病のある赤ちゃん、成長がゆっくりめの赤ちゃんは特に、始める時期について必ずかかりつけの小児科医に相談してください。体重の増え方が順調か、見落としている体調の問題がないかを確かめてもらえると、安心して進められます。

始める前に確認したいこと

ねんねトレーニングは「赤ちゃんを放っておく」こととは違います。始める前に、まずは安全な睡眠環境を整えましょう。赤ちゃんは必ずあお向けで、かたく平らな面の上に、枕・ゆるい毛布・ぬいぐるみ・ベッドバンパーのないベビーベッドやバシネットに寝かせます。月齢や始める時期に少しでも迷いがあれば、自己判断せず、まずかかりつけの小児科医に相談してください。

方法その1:ファーバー式(漸進的な見守り)

ファーバー式は、英語圏で「ファーバー・メソッド」や「漸進的な見守り(グラデュアル・エクスティンクション)」とも呼ばれる方法です。眠い状態の赤ちゃんをベビーベッドに置き、もし泣いても決めた時間だけ待ってから様子を見に行き、短く声をかけたり背中をなでたりして安心させます。抱き上げて泣きやませるのではなく、「ここにいるよ、大丈夫だよ」と伝えてまた退室する――これを繰り返します。

特徴は、様子を見に行く間隔を少しずつ延ばしていくこと。たとえば最初は3分、次は5分、その次は10分…というように、赤ちゃんが自分で落ち着く時間を少しずつ増やしていきます。完全に放置するわけではないので、「泣かせきりは不安だけれど、毎回すぐ抱っこするのもつらい」という家族に選ばれやすい、中間的な方法です。

  • 向いている家族:寄り添いたい気持ちと、ある程度はっきりした手順がほしい気持ちの両方がある家族。
  • 長所:比較的はやく効果が出やすいとされ、見守りの形が残るので親の不安が少し和らぎます。
  • 短所:見に行くたびに泣きが強まる赤ちゃんもいて、その場合は間隔を調整するか別の方法を検討します。

方法その2:泣かせる方式(クライ・イット・アウト / 消去法)

泣かせる方式(クライ・イット・アウト、CIO)は、就寝のルーティンを終えて赤ちゃんをベビーベッドに置いたあと、安全を確認したうえで、朝まで(または次の授乳まで)こまめに戻らないのが厳密なやり方です。英語では「フル・エクスティンクション(完全消去法)」とも呼ばれます。

この方法はもっとも効果が速く出やすいと言われる一方で、もっとも親の心の負担が大きい方法でもあります。赤ちゃんの泣き声を聞き続けるのは、本当につらいものです。「これで合っているのだろうか」という不安と何度も向き合うことになります。だからこそ、選ぶなら家族でよく話し合い、納得したうえで取り組むことが大切です。

大切な注意点を一つ。泣かせる方式であっても、「安全の確認」までやめるわけではありません。室温、おむつ、明らかな体調の変化など、危険なサインがないかは折にふれて確かめてください。そして、いつもと違う泣き方や苦しそうな様子があれば、方法にこだわらず赤ちゃんのもとへ行くのが正しい判断です。

「速さ」だけで方法を選ばないで

SNSや口コミでは「○日で寝るようになった」という話が目立ちます。でも、いちばん速い方法が、あなたの家族にとっていちばん良い方法とはかぎりません。毎晩あなた自身が落ち着いて続けられるか――その「続けやすさ」こそが、結果を大きく左右します。途中で罪悪感に押しつぶされそうな方法より、少し時間がかかっても穏やかに続けられる方法のほうが、最終的にうまくいくことがよくあります。

方法その3:泣かせない方式(ノー・ティアーズ / やさしいねんトレ)

泣かせない方式(ノー・ティアーズ)は、近年「やさしいねんねトレーニング(ジェントル・スリープ・トレーニング)」とも呼ばれ、人気が高まっている考え方です。目指すのは、赤ちゃんの涙をできるだけ少なくしながら、入眠の習慣を少しずつ変えていくこと。一気にではなく、何週間かかけてゆっくり進めます。

具体的なやり方はいくつかあります。代表的なのは「チェアメソッド」――最初はベビーベッドのすぐそばに座って付き添い、数日ごとに椅子をドアのほうへ少しずつ動かし、最後には部屋の外へ、という形で付き添いを少しずつ減らしていく方法です。ほかにも、泣いたら抱き上げて落ち着かせ、落ち着いたらまた寝かせるのを繰り返す方法や、寝かしつけのルーティン(授乳→抱っこ→ベッドの順)を一段階ずつずらしていく方法などがあります。

  • 向いている家族:「速さ」より「穏やかさ」を大切にしたい家族、添い寝から少しずつ移行したい家族。
  • 長所:親も赤ちゃんも涙が少なく、罪悪感を抱えにくいやり方です。
  • 短所:効果が出るまで時間がかかりやすく、毎晩コツコツ続ける根気が必要です。

3つの方法をどう選ぶ?

「どれがいちばん優れているか」という問いに、唯一の正解はありません。あなたと赤ちゃんにいちばん合う形が、あなたにとっての正解です。選ぶときは、次のような点を、自分の気持ちに正直に振り返ってみてください。

  • あなた自身が、赤ちゃんの泣き声にどこまで耐えられそうか。 無理をして続けると、親のメンタルが先に限界を迎えてしまいます。
  • どのくらいのペースで進めたいか。 数日で変化がほしいのか、数週間かけてゆっくりがいいのか。
  • パートナーや同居家族と、方針をそろえられるか。 夜ごとにやり方が変わると、赤ちゃんも混乱しやすくなります。
  • 赤ちゃんの気質。 敏感な子、刺激に弱い子は、やさしい方式のほうが合うこともあります。
  • 今の生活に余裕があるか。 引っ越し、復職、体調不良、旅行の直後などは、落ち着いてから始めるほうがうまくいきやすいものです。

そして覚えておいてほしいのは、途中で方法を切り替えても、いったんやめても、まったく問題ないということ。やさしい方式から始めてファーバー式に変える人も、その逆も、たくさんいます。月齢別の睡眠リズムや起きていられる時間(活動時間)の目安については、月齢別の赤ちゃんの睡眠スケジュールガイドもあわせて読むと、「いつ寝かせるか」の感覚がつかみやすくなります。

どの方法でも共通する「土台」づくり

実は、どの方法を選ぶかよりも、毎日の土台が整っているかどうかのほうが、結果を大きく左右することがあります。次の点は、方法に関係なく取り組む価値があります。

  • 毎晩同じ就寝ルーティンをつくる。 お風呂→着替え→授乳→絵本や子守唄→暗い部屋でおやすみ、のように、毎晩同じ順番を繰り返すと、赤ちゃんは「もうすぐ寝る時間だ」と体で覚えていきます。
  • 「眠いけれど起きている」状態で寝かせる。 完全に寝落ちする前にベッドに置くことで、自分で眠りに入る練習になります。これがねんねトレーニングの核心です。
  • 起きていられる時間(活動時間)を意識する。 疲れすぎる前に寝かせると、すんなり眠りやすくなります。月齢ごとの目安は次のとおりです(あくまで一般的な範囲で、個人差があります)。
    • 生後0〜3か月:およそ45分〜1時間半
    • 生後4〜6か月:およそ1時間半〜2時間半
    • 生後7〜10か月:およそ2時間半〜3時間半
    • 生後11〜14か月:およそ3時間〜4時間
  • 寝室を暗く、静かに、快適な室温に保つ。 ホワイトノイズが助けになる赤ちゃんもいます。
  • 日中はたっぷり光と関わりを。 昼夜のリズムを育てる助けになります。

この土台が整っていれば、どの方法を選んでも進めやすくなりますし、整っていないまま方法だけ試しても、なかなかうまくいかないことが多いのです。

受診すべきとき:医師に相談したいサイン

ねんねトレーニングは、健康な赤ちゃんが本来もっている「眠る力」を育てるものであって、体調の問題を解決するものではありません。泣き方や様子に次のようなサインがあるときは、トレーニングを中断し、かかりつけの小児科医に連絡するか医療を受けてください。

  • 呼吸が苦しそう――速い・苦しそうな呼吸、ひと息ごとのうなり、小鼻がぴくぴく開く、肋骨や首まわりがへこむように引きこまれる、唇や顔が青み・灰色がかる。
  • なかなか起きない・反応がいつもと違う――ぐったりして起こしにくい、ふだんのように反応しない。
  • 発熱――特に生後3か月未満の赤ちゃん(新生児で38°C以上は緊急です。すぐに連絡してください)。
  • 何を試しても落ち着かず、いつもと違う、異常にかん高い・弱々しい泣き方が続く。
  • 授乳がうまくいかない・脱水のサイン――授乳を強く拒む、おしっこの回数が極端に少ない、口の中が乾いている。
  • くり返す嘔吐や、お腹が張ってかたいなど、痛みを思わせるサイン

そして、はっきりした症状がなくても、「なんだか様子がおかしい」と感じたときは、迷わず相談してください。すべての赤ちゃんは違いますし、これらはあくまで一般的なパターンです。あなたの直感は、赤ちゃんを誰よりよく知っているからこそのもの。必要なかったかもしれない一本の電話のほうが、心配を一人で抱え込むよりずっと良いのです。

うまくいかない夜も、あなたは十分がんばっている

どんな方法を選んでも、すべてがすんなり進む夜ばかりではありません。歯ぐずり、体調の波、発達のジャンプ、旅行――ねんねは行きつ戻りつしながら育っていくものです。一晩うまくいかなくても、それは失敗ではありません。翌日また、落ち着いて続ければいいのです。大切なのは完璧さではなく、赤ちゃんに寄り添い続ける姿勢のほうです。

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最後に

ファーバー式、泣かせる方式、泣かせない方式――どれも、ゴールは同じです。赤ちゃんが安心して眠りに入れるようになり、家族みんなが少しでも休めるようになること。違うのは、そこへ向かう道のりだけです。速さを取るか、穏やかさを取るか。手順のはっきりさを取るか、寄り添いの形を取るか。あなたと赤ちゃんに合う道を選び、合わなければいつでも変えていい――そう思って、肩の力を抜いてください。今夜うまくいかなくても、あなたはもう十分にがんばっています。そして、迷ったときに頼れる相手(パートナー、かかりつけの小児科医、そしてアプリのような道具)が、あなたのそばにいることを、どうか忘れないでください。

よくある質問

ねんねトレーニングはいつから始められますか?

一般的な目安として、多くの専門家は生後4〜6か月ごろを一つの出発点としています。このころになると昼夜のリズムが育ち始め、睡眠サイクルが大人に少し近づく赤ちゃんが多いためです。ただし、これはあくまで一般論で、赤ちゃんの発達には大きな個人差があります。低出生体重で生まれた赤ちゃんや持病のある赤ちゃん、成長がゆっくりめの赤ちゃんは特に、始める時期について必ずかかりつけの小児科医に相談してください。体重の増加が順調か、明らかな体調不良がないか、家族の生活に余裕があるかも確認したうえで、赤ちゃんと自分の様子を見て「今かな」と思えるタイミングを選ぶと安心です。

ファーバー式と泣かせる方式(CIO)は何が違うのですか?

いちばんの違いは「様子を見に行くかどうか」です。ファーバー式は『漸進的な見守り』とも呼ばれ、泣いても決めた時間だけ待ってから短く声をかけて安心させ、その待つ間隔を3分・5分・10分…と少しずつ延ばしていきます。一方、泣かせる方式(CIO・消去法)は、安全を確認したうえで、朝まで(または次の授乳まで)こまめに戻らないのが厳密なやり方です。CIOは効果が速く出やすいとされる一方、泣き声を聞き続ける精神的な負担が大きい傾向があります。ファーバー式はその中間で、寄り添いながら進めたい家族に選ばれやすい方法です。どちらも合わなければ、いつでもやめたり切り替えたりして構いません。

泣かせない方式(やさしいねんトレ)でも効果はありますか?

はい、多くの家族で効果が見られます。チェアメソッド(少しずつベビーベッドから離れていく)、抱き上げて落ち着いたら寝かせるのを繰り返す方法、入眠の習慣を少しずつ変えていく方法などがあります。いちばんの魅力は、親も赤ちゃんも涙が少なくてすむこと。一方で、効果が出るまでに時間がかかりやすく、毎日コツコツ続ける根気が必要です。『速さ』より『穏やかさ』を大切にしたい家族に向いています。どの方式でも、毎晩同じ寝る前のルーティンを作り、疲れすぎる前に『眠いけれど起きている』状態で寝かせることが、うまくいくコツになります。

ねんねトレーニング中は夜間授乳をやめるべきですか?

いいえ、ねんねトレーニングは夜間授乳をやめさせる方法ではありません。月齢の小さい赤ちゃんは、夜中の授乳がまだ必要なことがほとんどです。授乳が必要かどうかは月齢・体重・成長によって変わるので、夜間授乳を減らすかどうかは自己判断せず、必ずかかりつけの小児科医に相談してください。ねんねトレーニングで育てたいのは、あくまで『眠りに入る・眠りに戻る』力の部分です。トレーニング中でも、空腹のサインがあるとき、体調が悪そうなとき、いつもと様子が違うときは、方法にこだわらず赤ちゃんのもとへ行くのが正しい判断です。

ねんねトレーニングを途中でやめてもいいですか?

もちろんです。途中でやめることも、別の方法に切り替えることも、立派な判断です。やさしい方式から始めてファーバー式に変える、その逆も、まったく問題ありません。赤ちゃんが激しく泣き続けて落ち着かない、いつもと様子が違う、自分の心がつらすぎる――そう感じたら、無理に続ける必要はありません。本やSNSの『○日で成功』という話と比べて落ち込む必要もありません。すべての赤ちゃんは違い、ペースもさまざまです。あなたと赤ちゃんにいちばん合う形が、あなたにとっての正解です。引っ越しや復職、体調不良の時期を避け、また落ち着いたタイミングで再挑戦することもできます。

ねんねトレーニング中、どんなときに小児科医に連絡すべきですか?

ねんねトレーニングは健康な赤ちゃんの眠る力を育てるもので、体調の問題を解決するものではありません。呼吸が苦しそう(速い・苦しそうな呼吸、うなり、唇や顔が青み・灰色がかる)、なかなか起きない・反応がいつもと違う、生後3か月未満の赤ちゃんの発熱(38°C以上は緊急)、何を試しても泣き止まずいつもと泣き方が違う、授乳がうまくいかない、おしっこが極端に少ない――こうしたサインがあるときは、トレーニングを中断し、すみやかに小児科医に連絡するか医療を受けてください。そして『何かおかしい』と感じたときも、迷わず相談を。あなたの直感は、赤ちゃんを誰よりよく知っているからこそのものです。