ホワイトノイズが赤ちゃんに安全か危険かは、どちらも証明されていません。家庭向けの公式な音量基準もありません。使うなら、音量は小さく、機器はベビーベッドの外のできるだけ遠くに置き、短い時間だけにします。音がSIDSを防ぐと示した情報源はなく、仰向け寝などの安全な睡眠の代わりにもなりません。
ホワイトノイズは赤ちゃんに悪影響がある?
米国小児科学会(AAP)の保護者向けページは、機器の中には危険な音量を出せるものがあるとし、使うなら頭からできるだけ離して短時間だけにするよう勧めています。デシベルの数字は示していません。「難聴になる」という話も、測られたのは機器の音量で、赤ちゃんの聴力ではありません(Hugh 2014、Hong 2021)。言葉の遅れや、音がないと眠れなくなることを確かめた情報も見つかりませんでした。一方で、長時間の音が無害だと示されたわけでもありません。
研究でわかっていること:実はまだ少ない
- Spencer 1990:生後2から7日の健康な新生児40人の試験。音を聞いた20人のうち16人(80%)が5分以内に眠り、聞かなかった20人では5人(25%)でした。音は約4分半だけで、夜通しの使用や聴力は調べていません。お腹がすいた赤ちゃんは授乳するまで落ち着きませんでした。機器はベッドの中に置かれていましたが、後の研究やAAPの助言とは逆なので、まねしないでください。
- コリック(疝痛)の試験:生後1か月の40人で、揺らす方法と比べて泣く時間が短く、睡眠が長くなりました(Sezici 2018)。小規模で、要旨しか確認できておらず、コリックの治療法とは言えません。
- 差が出なかった試験:シーッという音などを組み合わせた方法を動画で教えても、泣く時間と睡眠に差はありませんでした。最後まで参加したのは35組と少なく、音だけを調べたものでもありません(McRury 2010)。
- 総説:連続した音で睡眠が良くなる根拠の質は「非常に低い」とされています(Riedy 2021、乳児に限らず)。動物では中程度の音を続ける害が示唆され、人のデータもおおむね同じ方向ですが、小さな音なら役立つ可能性を示す研究もあります(De Jong 2024)。
NICUの早産児で報告された結果は、家庭の健康な赤ちゃんには当てはまりません(Zhang 2024)。
どのくらいの音量まで?公式の数字がない理由
現在の小児科のガイドラインに、この機器についての明確なデシベル基準はないと報じられています(ABC News)。よく見る数字はそれぞれ別の場面のもので、家庭の赤ちゃんに安全だと示す線ではありません。
| 数字 | 何の数字か |
|---|---|
| 45 dB | NICU(新生児集中治療室)のAAP基準 |
| 50 dBA | 病院の新生児室の上限(Hugh 2014の説明) |
| 60 dB | 研究の著者が報道で語った提案で、公式の基準ではない(ABC News) |
| 70 dB | 超える音が長く続くと聴力に影響し始めることがある(AAP) |
| 85 dBA | 大人の職場の基準(8時間、NIOSH)。子どもに安全とは考えない(AAP) |
乳児用の14機種を最大音量で測ると、30cmで全機種が50 dBAを超え、3機種が85 dBAを超えました(Hugh 2014)。報告された平均の最大音量は、30cmで79 dBA、100cmで71 dBA、200cmで63 dBAです(Journal Watch)。機器8種とiPhoneアプリ6種を調べた別の測定では、最小音量ならどの距離でも85 dBAを超えず、最大音量では10cmで14種中9種が超え、30cm以上では超えませんでした(Hong 2021)。機器も測り方も違うので単純には比べられませんが、最大音量は避けてください。スマホの音量の%はデシベルとは別物です。WHOの「音量60%」はイヤホンなど個人の聞き方の話で、赤ちゃんの基準ではありません。測定アプリも大まかな確認にとどまります。NIOSHのアプリはiOS専用です。
スマホや機器はどこに置く?距離の考え方
- ベビーベッドの中や柵の上、布団の枕元には置かず、できるだけ遠くへ(Hugh 2014、Hong 2021)。
- 距離の数字も公式ではありません。Hong 2021の30cmは大人の基準から見た最低ライン、ABC Newsが伝える7フィート(約2.1m)はAAPのページで確認できず、Babymindのアプリ内の「2メートル以上」は公式の基準ではなく、独自の安全策です(2014年の米国フィラデルフィア小児病院(CHOP)の記事に、名前のない専門家の提案として200cm超という記述があります)。
- 200cmでも最大音量なら平均63 dBAあります。距離と小さな音量を組み合わせてください。
- コードは充電ケーブルも含めて手の届かない場所に。米国消費者製品安全委員会(CPSC)の2012年の警告は、ベビーモニターなどのコードをベッドから3フィート(約90cm)以上離すよう求めています。
一晩中流していい?いつまで使う?
赤ちゃんで確かめられた安全な長さはありません。AAPは短時間、Hugh 2014の著者は赤ちゃんがぐっすり眠るまで、米国言語聴覚協会(ASHA)によるAAP声明の要約は8時間未満、研究著者のErbele医師は寝ついたら早めに止める、としています。一晩中流すことを支える研究は見つからないので、タイマーを使い、寝ついたころに止めるのが控えめな使い方です。何か月まで、という区切りを示した情報源もありません。寝かしつけ全体は新生児の寝かしつけガイドにまとめています。
シーッ、胎内音、雨音、子守唄
- シーッという音:耳元で大きく聞かせる方法を支える情報源はなく、大きな音のシーッを教えた試験でも泣く時間は減りませんでした。予防接種の場面の試験では組み合わせの一部として泣く時間が減りましたが、睡眠の話でもシーッ単独でもありません(Harrington 2012)。泣き声の大きさに音量を合わせないでください。掃除機の音も、AAPが挙げているのは隣の部屋で使う例です。洗濯機や乾燥機の上には絶対にのせません(AAP)。
- 胎内音:お腹の中の音は主に500Hz未満の低い音とされ、ホワイトノイズとは性質が違います(Lahav 2014)。録音で胎内を再現できるとは言えません。
- 雨音:ほかの音より安全という根拠はありません。音量、距離、時間の注意は同じです。
- 子守唄:実験では録音の子守唄を聞くと心拍がやや下がりましたが、泣くことや眠りへの効果は調べていません(Bainbridge 2021)。早産児への生演奏の試験(Loewy 2013)も、家庭の録音には当てはまりません。歌いかけや話しかけは、AAPやNHSが挙げるあやし方のひとつです。
- 生活音やラジオ:NHSは、ラジオなどの穏やかな音が気をそらす助けになるとし、日中は家を静かにしすぎなくていいと説明します。テレビをつけたままだと遊びへの集中が下がるとAAPは述べています。
音より先に、安全な睡眠を
どの音を使っても、1歳までは仰向け、硬く平らな寝床、シーツだけで物を置かない、少なくとも生後6か月までは同じ部屋の別の寝床です。NICHDは、SIDSを防げる製品はないと述べています。詳しくは赤ちゃんの安全な睡眠とSIDSへ。
寝つくまでの時間に、小さな音で
Babymindの「寝かしつけサウンド」には、シーッ、胎内音、ホワイトノイズ、雨音、子守唄があり、流しっぱなしにせず15分、30分、60分のタイマーを選べます。オフラインでも使えます。アプリは実際の音量を測るものではなく、デシベルを保証しません。泣く原因の診断もしません。
Babymindをダウンロード音ではなく受診が必要な泣き方
音は、授乳や体調の確認、医師の診察の代わりにはなりません。あやしても落ち着かず泣き続ける、いつもと違う泣き方は、病気のサインのことがあります(NHS、AAP)。金切り声のように泣くなら、服が当たって不快でないか、手足の指に髪の毛が巻きついていないかも確かめます(AAP)。長く泣き続けるときはコリックと普通の泣きの違いも参考にしてください。心配なら、その感覚を信じてください(NHS)。
すぐに119番
- 呼吸が止まる、起きない、けいれん。肌や唇、舌の色が青い、灰色、白っぽい、まだら。ぐったりして反応が薄い、いつもより起きにくい
- 呼吸が苦しい、うなる、肋骨の下がへこむ、とても速い。噴水のような嘔吐をくり返す。体温が高い、低い。押しても消えない発疹。8時間おむつがぬれない。弱く甲高い泣き声、いつもと違う泣き声(NHS)
- 高熱に加えて、首が硬い、ガラスで押しても消えない発疹、光をまぶしがる、初めての熱性けいれん、手足がいつになく冷たい、肌の色の変化、眠くて起きにくい、泣きやまないほど興奮する、ぼんやりしている、呼吸が苦しい、反応がいつもと違う(NHS)
NHSの泣き声のページは高い体温を受診の項目と救急の項目の両方に挙げており、ひとつの線では区切れません。迷ったら、こども医療でんわ相談(#8000)か119番へ。
急いで小児科へ(遅くともその日のうちに)
- NHS:生後3か月未満で38℃以上、3から6か月で39℃以上。測れなくても高いと感じるとき。AAP:なだめられない赤ちゃんで直腸温38℃以上は感染の可能性があり、小児科へ
- 高熱に発疹がある、5日以上続く、飲まない、いつもと様子が違う、脱水のサイン(NHS)
- 泣き方が心配、何をしても落ち着かない、親がつらくて対応しきれない、体重が思うように増えない、生後4か月を過ぎてもコリックが続く(NHS)。ヘルニアや病気が隠れていることもあります(AAP)
- ドアの音や犬の声など大きな音に反応しない。聴力検査について小児科で聞いてください(ABC Newsで医師が言及)
限界だと感じたら、赤ちゃんを絶対に揺さぶらないでください。仰向けでベビーベッドなど安全な場所に寝かせ、部屋を出て10分ほど離れてから戻り(NHS)、誰かに助けを求めます。気持ちが沈むときは自分の医師にも伝えてください(AAP)。赤ちゃんを見るほかの人にも、このことを伝えておいてください。
参考文献
このガイドの事実や数値は、以下の情報源にもとづいて確認しています。詳しくは「ガイドの作り方」をご覧ください。
- Spencer JA, Moran DJ, Lee A, Talbert D. White noise and sleep induction. Archives of Disease in Childhood, 1990
- Hugh SC, Wolter NE, Propst EJ, Gordon KA, Cushing SL, Papsin BC. Infant Sleep Machines and Hazardous Sound Pressure Levels. Pediatrics, 2014
- Can Sleep Machines Damage Infant Hearing?. NEJM Journal Watch (Louis M. Bell, MD), 2014
- Hong SA, Kuziez D, Das N, Harris D, Brunworth JD. Hazardous sound outputs of white noise devices intended for infants. International Journal of Pediatric Otorhinolaryngology, 2021
- De Jong RW, Davis GS, Chelf CJ, Marinelli JP, Erbele ID, Bowe SN. Continuous white noise exposure during sleep and childhood development: A scoping review. Sleep Medicine, 2024
- McRury JM, Zolotor AJ. A Randomized, Controlled Trial of a Behavioral Intervention to Reduce Crying among Infants. Journal of the American Board of Family Medicine, 2010
- Sezici E, Yigit D. Comparison between swinging and playing of white noise among colicky babies: A paired randomised controlled trial. Journal of Clinical Nursing, 2018
- Harrington JW, et al. Effective Analgesia Using Physical Interventions for Infant Immunizations. Pediatrics, 2012
- Riedy SM, Smith MG, Rocha S, Basner M. Noise as a sleep aid: A systematic review. Sleep Medicine Reviews, 2021
- Lahav A, Skoe E. An acoustic gap between the NICU and womb: a potential risk for compromised neuroplasticity of the auditory system in preterm infants. Frontiers in Neuroscience, 2014
- Bainbridge CM, Bertolo M, et al. Infants relax in response to unfamiliar foreign lullabies. Nature Human Behaviour, 2021
- White noise machines for infants can be dangerously loud, study says. ABC News
- How Noise Affects Children. American Academy of Pediatrics, HealthyChildren.org
- AAP Sounds Alarm on Excessive Noise Risks to Children. American Academy of Pediatrics, HealthyChildren.org
- Preventing Excessive Noise Exposure in Infants, Children, and Adolescents. American Speech-Language-Hearing Association, Evidence Maps summary of the AAP policy statement in Pediatrics, 2023
- Safe and Sound Zone: Infants and Toddlers Can Strangle in Baby Monitor Cords. U.S. Consumer Product Safety Commission, Publication 5066, 2012
- Noise-Induced Hearing Loss. NIOSH, U.S. Centers for Disease Control and Prevention
- Soothing a crying baby. NHS
- Ways to Reduce Baby's Risk. NICHD, U.S. National Institutes of Health, Safe to Sleep
- High temperature (fever) in children. NHS